岐阜県美濃加茂市。
この地で1000年以上もの昔から受け継がれてきた極上品が「堂上蜂屋柿」です。
日本のほぼ中央、岐阜県の南部に位置する美濃加茂市。濃尾平野が飛騨・奥美濃の山並みに接するところにあり、中濃地域の中核都市を形成しています。製造業が盛んな一方、飛騨木曽川国定公園に代表される景勝地としても知られる美濃加茂市。季節ごとに表情を変える豊かな自然は、いにしえより訪れる人々を楽しませてきました。
かつては、天下を東西につなぐ交通の要となった美濃国、中山道の宿場町・太田宿として栄えました。また、この地は明治時代に活躍した小説家・坪内逍遙の生誕地でもあり、石碑や資料などが多く残されています。
市内の蜂屋小学校では、逍遥が作詞した校歌が歌い継がれています。その作品には「千歳の昔に その名高く 雲居の供御とも なりぬる柿 蜂屋 蜂屋 蜂屋 蜂屋」 とあり、逍遙もふるさとの蜂屋柿に思いを馳せたことをうかがわせます。
そんな自然と歴史が育んだ特産品が 、美濃加茂市蜂屋町一帯で作られる「堂上蜂屋柿」。
これは、蜂屋町が誇る堂上蜂屋という品種の柿を、伝統の技によって干柿に加工したものをいいます。ちなみに堂上とは、かつて天皇の日常生活の場に昇ることを許された公家などの家柄・殿上人を指します。
古来、この地で作られる干柿が朝廷や幕府に献上されていたことから、「堂上蜂屋柿」と呼ばれるようになったと考えられます。美濃加茂市は冬でも晴天の日が多く、奥美濃で雪を降らせた乾風が吹き下ろすため、秋に収穫した柿を干しあげるには最適の気候です。北風でじわじわと水分が抜かれるからこそ、極上の干柿ができあがる…。
つまり、「堂上蜂屋柿」は美濃加茂市の気候風土あってこその特産品なのです。